The Highly Sensitive Person in Love
The Highly Sensitive Person in Love
by Elaine N. Aron, Ph.D.
なぜわたしはこのテーマに目を向けたのか ― そのひとつめの理由をお話しすると、ありふれたものに聞こえるかもしれない。でも私にとってそれは真実なのです。それは「この世界に愛はなくてはならないもの」 ― という理由です。そして私は、その愛とはなにかを解き明かすことを運命づけられているのが、HSPだと思っているのです。
ただそのためには、HSPは“親密性”というものにたいして助けを必要とする、ということもわかりました。私たちは、親密さを恐れ、傷ついたことがあり、そのことを忘れられないでいるかもしれない。あるいは、本当の自分の姿を知られたり、正しく評価されることに問題を抱えているかもしれない。あるいは他の人たちと自分の求めるニーズが異なるために、人間関係に悩みを持っているかもしれない。そしてそのために、いつも自分を、「私はあまりに~」、「敏感すぎる」と思っているかもしれません。
二つめの理由は、HSPの研究を始める前、私は社会心理学者である夫とともに、愛と親密な関係の研究に深く携わっていたからです(この研究はいまも続けています)。実際私たちは、それまで一般向けに本を書いたことがなかったにもかかわらず、二人とも、この分野における第一人者とみなされていました。ですから、この本はきちんとした研究に基づいて、人間関係について今まで知られてこなかった多くのことを、読者に教えてくれるはずです。そしてそれは、HSPと人間関係に関する、私の最新の研究成果の発表でもあります。ですからあなたは、ここに書かれているようなテーマのブレンド、そして研究内容をほかではどこでも目にすることはないでしょう。
理由の三つめは、私が30年にわたって非HSPのパートナーと結婚をともにしてきた一人のHSPだからです。その間かなりの波瀾もありました。そう、ですから、気質の違いというものが二人の関係にどのような影響を及ぼすかということについて、私はたくさんの経験をもっているのです!
”離婚遺伝子”の真相
私たちのほとんどは、友人や恋人との関係がうまくいくかどうかは、上手なコミュニケーションスキルを持っているか、あるいは同じようなことに関心を持っているか、ということに左右されると思っています。では、あなたは次のことをどう思われるでしょう? 1995年に発表されたある研究によると、離婚のリスクの内50%は遺伝的に決まっているというのです。これは社会生活における成功や充実まで、遺伝するということなのでしょうか? もしそうだとしたら、私たちが自分でできることなどなくなってしまいませんか?
この件に関して、遺伝的に最も大きな影響を及ぼしているのは、”離婚遺伝子”だけではない、と私は確信しています。(何かを遺伝的に決まっていると言ってしまっては多くのことは解明されません。スカートをはく、銃を所有するというようなことであれば、ほぼ”遺伝子によって決められる”のでしょうが。ただし、遺伝子が、ジェンダーの問題について、文化面における仲裁者をたくさん増やしてくれたことには感謝しています)。遺伝子は、遺伝するそれぞれの気質が人間関係のトラブルの種になる、という形で結婚生活に入り込むのだと私は考えます。そしてそれが問題を引き起こしてしまうのは、ただ私たちの多くが、互いが持つ神経システムに根本的な違いがあるという事実を、まったく知らないからなのだと。ただし、適切な助言があれば、この世界の多くの”ミスマッチ”は、あらゆる人間関係の中でも最も充実したものになる可能性も持っています。
HSPが恋する時
敏感さ ― この気質について知ることから始めましょう。人口の約20%はHSPです。そしてすべての恋愛関係のうち、少なくとも34%にHSPは関係しています。また、すべての人が少なくとも一人のHSPの友人を持っています。私が調査してわかったことは、HSPが自分のことを理解していない、そして相手から理解されていないと、人間関係に支障をきたすということでした。これは私のデータが、HSPは平均的に、HSP同士のカップルの方がわずかに幸福度が高い、ということを示す確かな理由の一つにもなっています。彼らはお互いのことを理解し合っているからです。
私のデータはまた、HSPが一般的な人間関係において幸福度が低いことも示している。これはHSPが自分が関わる人間関係の中で幸福感をもちにくい ― 少なくともHSPの側はそう感じている ― ということを暗示しています。なぜなのか? HSPは、微妙なことによく気がつきそれについて深く考える神経システムを持っています。これは同時に、二人の間にある深い場所、闇や影といった部分までHSPは察知し、それについても深く考えてしまう、ということにつながるからです。例えば、相手の欠点や言動から、将来二人の間に起こるかもしれない悪いことを想像し、もしその兆候が表れたら、さらにそれについて考えこんでしまい、この先起こることを、HSPは非HSPの人よりも心配してしまうのです。
また、HSPはとても多くのことを感じ取ることから刺激過多になる傾向があり、すぐにストレスを感じてしまいますが、この刺激・ストレスは、あらゆる親密な関係、強くひかれあう関係からも生じます。このような時、HSPにはダウンタイムが必要となりますが、これが相手に、「自分は遠ざけられている」と感じさせてしまう原因となります。そしてお互いに相手と比較しあうような楽しみを見つけるようになるかもしれない。
刺激追求型が恋する時
『敏感すぎてすぐ「恋」に動揺してしまうあなたへ。』では、もうひとつの基本的な特性(きちんとした研究に基づいた特性です) ― 刺激追求型(SSs) ― についても取り上げました。刺激追求型とは、生まれつき強い好奇心を持ち、刺激を追及するタイプのことで、HSPとは正反対のように聞こえるかもしれませんが、このタイプもまたHSPと同じく、人間が持つ自然な特性です。異なる遺伝子と脳のシステムが、一人の人間の中でこの二つの特性を支配することから、HSPであると同時にSSということも起こり得ます。しかし、これが確実に彼らの人生を難しいものにする。この特性をすこしでも持ったHSPが、非HSPでSSの人と胸が高鳴るような関係になれば、まず確実に二人の間ではいさかいが絶えなくなります。『敏感すぎてすぐ「恋」に動揺してしまうあなたへ。』では、一人でも、あるいはカップルでも、どれだけの割合でこの二つの特性をもっているのかがわかる、セルフテストを用意しました。気質は目には見えませんが、まぎれもない現実です。私は調査を通して、片方がセルフテストのすべての項目のイエスと答え、もう片方がノーと答えるカップルがこの世にはたくさんいることに気がつきました。二人は互いにとてもたくさんの誤解をし合っているのです。そしてこう言います、「君どうかしてるよ(あなたどうかしてるわ)」と。離婚の原因の50%は遺伝子だとする説も不思議ではありません。この数字は、離婚の原因が、極端に異なる気質を持つ者同士がカップルになり、そして彼らが、日頃相手がどのように物事を感じ取っているか、それを知るための手掛かりを持っていないことが原因なのです。
文化がHSPの恋愛に及ぼす影響
最初の本の時と同じく、この社会がHSPに与える影響 ― どんなに自分を望ましくない人間だと感じさせているか、どんなに自信を失くさせているか ― について、今度は考えてみましょう。この問題は、とりわけHSPの男性の側に顕著です。男性も女性もHSPに生まれる割合は同じなのに、社会のステレオタイプなイメージでは女性は繊細であるのに対し、”真の男”たるものはそうではありません。女性の側も、HSPの男性とは喜んで友達になるのに、デートしたり結婚する相手としては選ぼうとしません。『敏感すぎてすぐ「恋」に動揺してしまうあなたへ。』を書いた目的のひとつは、このような誤解をHSPの女性に解いてもらい、そしてHSPの男性には、あなたの置かれている状況はあなたのせいではない、ということに気づいてもらいたかったからです。
もう一つの目的は、親密な関係になるためにHSPとHSSのとる、異なるアプローチの方法を検証することでした。HSPは生まれつき慎重なことから、時間をかけて考えてからでないと親密な関係に踏み出すことはありません。また相手から「敏感すぎる」と拒絶されたり、相手のニーズに圧倒されてしまうことも恐れています。かたやHSSもまったく異なる理由からコミットすることを恐れていました。それは二人の関係に飽きてしまうこと、そして退屈への恐れでした。
私は、HSPが深い愛を恐れる八つの理由を、セルフアセスメント(自己診断)できる形で紹介し、そしてそれぞれの恐怖にどう向き合ったら良いのかを提案しました。その後で ― もし読む人が望むのなら ― 希望する相手がHSP・非HSPであるかに合わせて、相手と出会う方法、そして恋に落ちる方法についても紹介してみました。
HSPの人間関係へのアドバイス
これはとても重要なことなのですが、この本では、あらゆる人間関係の本に書かれていることと同じことが、HSPに合わせる形で書かれています。例えば、なぜ気質が反対の者同士が恋に落ちるのか、そしてどうしたら二人は上手くやっていけるのか、そしてそれがいかに難しいかを。気質の異なる者同士は、最初とても強い力で惹かれ合い、その力で二人の仲は急速に深まります。しかし時間がたつにつれ、二人は互いに幻滅し、相手に軽蔑の気持ちさえ持つようになるかもしれません。
気質が似た者同士にも問題は起こります。実際私と夫は、助成金を受けて”退屈”がカップルに与える影響について大規模な研究をしたことがあるのですが、そこで分かったことは、退屈が、似ている者同士のカップルに特有の問題となっているということでした、とりわけHSPではそうだったのです。最初二人は、お互いの似ているところを見つけて胸がときめきます。でも時間とともに、相手を、ともに新しい世界を広げていくパートナーとしてよりも、一緒にいて安心できる、癒しの場所と見るようになっていく傾向があったのです。ただしこれは、(そのことについて述べた章の中で)、私がHSP同士のカップルに対して唯一取りあげた問題点です。
私はそれぞれに合わせて、HSPにとってとても大切と思われるアドバイスを考えて紹介しています。
セックスそしてスピリチュアルの話題からも私は逃げません
この本の最大の特色は、セクシャリティに関する章を設けたことでしょう。その内容は、”気質の異なる相手との望ましいセックス”、という、かつてない調査に基づいています。この章の中で、私は、”ノーマルなセックス”に対する、まったく新しいスタンダードを提示しました。例えば、他の人たちと比べた時、HSPはセックスに神秘的で強力なものを感じやすいこと、また性的な合図は露骨なものよりも微かなものに魅力を感じやすいこと、セックスの最中に気がそがれやすく、肉体的にも傷つきやすいこと、そしてセックスの後、すぐに普段の生活に戻るのが難しいと感じていること、などです。
刺激追求型HSPの場合は、男女ともよりセックスを楽しみ、複数の相手を求め、経験も豊富で、”愛がないセックス”も楽しめる、と感じる傾向がありました。
最後になりましたが、私は、愛とスピリチュアルについて書いた章をとても誇りに思っています。編集者は憂慮しましたが、私はHSPならこの章を気に入ってくれることがわかっていました(あるいは、私にそう書けていますように…と願っています)。あなたがどのくらいこの本を好きになってくれたか、ぜひ私に教えてください。
The Higly Sensitive Person in Love
by Elaine N. Aron, Ph.D.
ISBN: 0767903358
The Highly Sensitive Person in Love: 著者による増補 2014
>> ご購入はこちらから